「やりがいのある仕事がしたい」「天職と思える仕事に出会いたい」ーーそう悩んでいる方も、悩みながらもなかなか一歩を踏み出せずに現状維持をしながら、毎日を過ごされている方も多いのではないでしょうか。
人材業界に転職して3年目を迎える小西里歩さんは、現在の仕事について「楽しくて、やりがいを感じています」と、輝くような笑顔で語ってくれました。その言葉の背景には、20代で経験した迷いや葛藤、そしてそれらを乗り越え、自らの手で「天職」を掴み取るまでの苦しい道のりがありました。
「3年は続けるべき」への葛藤と迷い~転職への決意
転職前の勤務先で同僚たちと
――まずは、現在のお仕事内容について教えていただけますか?
人材系の会社で働いています。様々な求人媒体に掲載する原稿を書いたり、企業に直接取材に伺ってお話を聞き、記事を作成するような求人ライターの仕事です。
――転職はいつ頃されたのでしょうか?どうして転職しようと考えたのでしょう?
2023年に転職したのですが、前職は新卒で入社した印刷会社で働いていました。工場でシールや商品ラベルを製造したり、簡単なデザイン業務もしていました。
入社して1年目の頃には、「私が本当にやりたかったことって、コレなのかな」と、違和感を感じ始めていました。当時の仕事は黙々と作業することが多くて、あまり人と直接関わる機会がなくて。その時には、もっとお客さんと話して、その想いを形にするような、何かを作り上げていく仕事がしたいと思うようになっていたんです。その気づきが、転職を決意したきっかけでした。
――転職への迷いや葛藤はありませんでしたか?
「仕事は3年間は続けた方がいい」という世間一般の声は、常に気になっていました。まだ2年目なのに辞めていいのか、このまま続けるべきなのか、かなり迷い悩みました。夜勤もあったので、身体への負担がかかってしまって。結局、2年で退職することを選びました。
その後、転職まで1年間休職期間があったのですが、「3年続けられなかった自分はダメなんじゃないか」「次の仕事は本当に見つかるのだろうか」と毎日どこか落ち着かず、不安な気持ちで悶々としていました。あの時の焦りや不安は、今でも覚えています。
自分と向き合った1年|支えになった学びと仲間
学校で一緒に学んだ仲間と
――その苦しい一年間はどのように過ごされましたか
その1年間は、デザインやプログラミングなどを学ぶ学校に通っていました。悶々とした日々の中で、「自分でスキルを身につけて、できることを増やしたい」という思いが強くなっていったんです。
――学校で学んだことは、就職につながりましたか
はい、そうですね。今の会社からは「何でも興味を持って前向きに取り組んでくれそう」という部分を評価してもらい、採用されたと聞いています。実際、今の職場ではライターだけでなくデザインも担当するなど、様々なことに挑戦させてもらっています。あの時の学びが、今の私につながっていると実感しています。
――新しい仕事が決まるまでの間、支えになったものはありますか
何より「友達の存在」が大きかったです。私は地元が徳島なのですが、京都の大学に進学してそのまま就職したので、6年ほど実家に帰っていませんでした。友達も関西をはじめ全国に散らばっていて、すぐに会える距離ではなかったのですが、それでも電話してくれたり、わざわざ会いに来てくれたりしたのが、本当に心強かったです。
地元の友達は何かに夢中になっていたり、仕事に誇りをもっている子が多くて。友達の話を聞いているとその姿勢に感化されて「私も前に進んでいきたい」と、決意を新たにするような気持ちになりました。
また、学校でできた友達は年上の方が多く、そういう方々と話すことで、私の視野が広がり「こんな生き方もあるんだ」と、新しい世界が見えるようでした。それぞれ経歴もバックグラウンドも異なる友達の話は、学ぶことが多く刺激を受けました。様々な選択肢があってどれも正解というのはないし、自分のやっていることも間違いではない、と思えたんです。
離職期間が1年あっての転職活動は、もちろん難しい面もありました。でも、あの1年間があったからこそ、今の私があると思っています。私にとっては人生の転機となる、自分自身と徹底的に向き合えた一年だったと思います。
今の仕事はまさに天職|納得する「自分の居場所」に出会えた
ーーどうして今の会社、お仕事を選んだのですか?
未経験からでもデザインやライティング、取材など様々な環境にチャレンジできるのがいいと思い、今の仕事を選びました。文章を書いたりデザインをしたりと、自分の手で作り上げられる仕事に魅力を感じたんです。またお客さんと接点が持てるということが、私が叶えたかった働き方でした。
私の働いている会社は、多様な選択肢を用意した上で状況に応じて最適なものを選び、提案することを大切にしています。その理念が自分の価値観と合致していたということも、選択の決め手となりました。
――転職されて2年経っていると思いますが、転職当初と現在では、気持ちの面などで変化はありましたか?
転職当初は、未経験からのスタートということもあり、正直「向いてないかも」「辞めたい」と思うこともありました。特に最初の2か月間は取材や撮影、制作も上手くできず、一人で悩んでいました。
転機となったのは、ある時すごく良い取材ができて。そこで初めてこの仕事の楽しさを実感できました。そのお客様を担当して2年になりますが、今では信頼して大きな予算や掲載を任せていただいています。
お客様から「ありがとう、採用につながったよ」「良い原稿だね」と言っていただけるたびに、本当に嬉しくてやりがいを感じます。あの時たくさん悩み思い切って決断したからこそ、今良い仕事ができていて、自分の納得いくことができているのが何より嬉しいですし、ここまで来られて本当によかったと心から思えています。この2年間で大きく成長できたと感じています。
――どんな時に「転職をしてよかった」と感じますか?
今の仕事が本当に自分に合っている、向いている仕事だと感じられているときです。自分で作り出すということをやりながら、お客さんとコミュニケーションをとれる仕事はなかなかないですし、あったとしてもある程度経験を積んだ後に就ける職業のことも多くて。今私自身この仕事に就けていることが有難いです。
仕事は人生や生活の中でも、長い時間を費やすものです。だからこそ、自分で納得感をもって働けていることが、何よりも大切だと考えています。20代という早い段階で「これだ」と思える仕事に出会えたのは、本当に幸せなことだと思っています。
自分の生活も大切に、今を楽しみながら
――転職を機に東京へ来て、環境が変わって大変なことはありましたか?
25、6歳で友達がほとんどいない環境に来たので、休みの日にも一人で何をしようとか、仕事のことばかり考えてしまうこともありました。疲れているし息抜きもしたいけどどうしたらいいか分からない時もありましたね。
――今はお休みの日はどのように過ごされているんですか?
今は「自分の生活を大切にすること」に意識を向けています。食事はきちんとこだわって自炊したり、食べたいものや行きたいお店を選んで出かけたりすることが増えました。それから、趣味で阿波踊りを習っていて、今までやりたかったけどできなかったことに挑戦しています。夏のお祭りがメインで、そこに出演できるように今頑張って練習していて。自分らしく過ごせていると思います。
これからの展望|求人の仕事を極めてさらなるレベルアップを
お話を伺った時の小西さん。お仕事の話を生き生きとされている様子が印象的でした。
小西さんは現在の会社で、取材からデザイン、営業、採用のお手伝いまでマルチに活動されています。
――今のお仕事の中で、小西さんが一番意識されていることは何でしょうか
クライアントさんは「いい人を採用したい」という思いでご依頼いただいているので、自分が作る記事でできるだけ採用につなげることを一番に考えています。「どうやったら求職者の方から魅力的な求人に見えるか」「どこを推せば企業の魅力が伝わるか」ということを常に意識しています。
お客さんと直接お話するのが好きなので、商談の時は念入りに準備して、少しでも良い話ができるように心がけていて。応募や採用の成果が十分でないときには、原稿の修正や提案を行い「今はこういう状態なので、この部分を改善したいです」といった形で、相談しながら進めています。
職場についてヒアリングする際も、的確に質問できて相手から良い情報が引き出せたときや、良い雰囲気で商談を終えられたときは手応えを感じますね。
――最後に、これからの小西さんの展望について聞かせてください。
文章を書くことが好きなので、これからも続けていきたいと思っています。同時に、他のスキルも磨いて自分のできることを増やしたいです。
もし今の仕事から転職したとしても、求人に関わる仕事にずっと携わっていきたいと思っています。企業さんと一緒に採用活動に取り組みながら、目標に向かって試行錯誤できるのがすごく楽しいんです。自分の知識や発想力、書く力が磨かれることで、よりお客様の求める結果に近づき、形になったときのやりがいは大きいと感じています。
もっと良い原稿を作れるよう、ライティングやデザインのスキルも上げていきたいですし、求人の仕事をより極めていきたいです。時期やエリア、トレンドによって結果が大きく変わる仕事ではあるのですが、それぞれの会社にマッチする人を採用できるような求人やクリエイティブを作ることで、お客様に貢献していけたらと思っています。
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〜小西さんのお話を伺って〜
今回お話を伺う中で、小西さんの言葉の端々から、仕事への揺るぎない想いと情熱が伝わってきました。転職という大きな決断の時は迷いや葛藤が伴います。それでも小西さんはそれらを乗り越え、自分自身を常にスキルアップされてきたからこそ、今の「天職」を掴んだのだと感じました。
特に「魅力的な求人をつくりたい」「クライアントさんの採用を成功させたい」という想いを語る小西さんの姿からは、今の仕事への大きな誇りが感じられました。20代で「これだ」と思える天職に出会えた喜びと、それを掴むまでの道のりがあったからこそ、一つひとつの仕事への情熱が深いものになっているのではないでしょうか。
小西さんの体験は、転職に迷っている多くの方に勇気を与えるメッセージだと思います。小西さんの今後のさらなるご活躍を、心より応援しています。
取材/文 望月絵衣
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